Dobot Magicianは、ハンドティーチングやBlocklyを使って、アームの動きを手軽にプログラミングすることができます。例えば、工場のラインに並ぶFA機器の1つとしてDobot magicianを置くことで、ワークの移動や整列など決められた作業を正確に繰り返してくれます。
さらに、Dobot MagicianにはEIOと呼ぶ拡張I/O端子があり、これら入出力をロボットアームの動作と組み合わせることで、外部からのトリガを受けてアームを動かしたり、動作が完了したら外部にトリガを出す、といったことが可能となります。
以降では、スイッチを使って、ラインを流れてくるワークが所定の位置に来たことを検出したらロボットアームを動かす場合を想定して、実現のポイントをまとめます。
内容
1. 全体イメージ
ワークが所定の場所P1に来たらSW1がONになり、それをトリガーにして、P1からP2へワークを動かすピックアップ動作を例として考えます。
2. プログラミング
ここでは、Blocklyを使った方法を示します。ハンドティーチングでも同じ考え方でプログラミングを進めることができます。
2.1 基本動作のプログラミング
まず、P1からP2へワークを動かすピックアップ動作は、Blocklyで次のように記述します。
この記述を単発で実行して、所定の位置P1に置いたワークがP2に運ばれるよう、位置指定を細かく調整します。
2.2 スイッチ判定処理の追加
スイッチSW1を押したら動作を開始し、動作が完了したらまたスイッチが押されるのを待つ、という記述に変更します。
スイッチは、EIO19に接続しているという想定で作成したプログラムを示します。
全体を繰り返しループで包み、ループ内の最初に実行するブロックとしてスイッチSW1が押されるのを待つ処理を追加します。
スイッチが押されるのを待つ処理もループで記述します。
まだスイッチはつながっていないため、このプログラムを実行しても、ロボットアームは動きません。(アームが動かないのがプログラムとして正しい動作です)
3. スイッチの接続
Dobot MagicianのEIOは、5Vもしくは3.3Vが入力可能です。12Vや24Vを印加すると故障の原因になりますのでご注意ください。
ここではタクトスイッチ(小型の押しボタンスイッチ)を使ってEIO19に5Vもしくは0Vを印加しています。スイッチを押したときに0Vになります。
3.1 必要な部品
ここでは、ブレッドボード上で簡単なスイッチ回路を組みます。
次の部品が必要となります。
-
- ブレッドボード
- 抵抗(1kΩ~100kΩ程度)
- タクトスイッチ
- ジャンパー(オスメス)×3
3.2 回路図
回路図は次のようになります。
3.3 EIOの配置
Dobot Magicianの台座の背面にはいくつかのコネクタが並んでいます。それらのうち、communication interfaceをここでは使います。
以下の写真からDobotMagicainの5V電源、EIO19、GNDピンの位置を確認してください。
3.4 配線方法
配線をする前にDobot Magicianの電源ボタンを押して電源を切っておいてください。
まず、写真のようにブレッドボード上にタクトスイッチ、抵抗、ジャンパーを接続してください。(タクトスイッチの向きに注意)
また、Dobot Magicianのcommunication interfaceの5V電源に赤ジャンパー、EIO19に白ジャンパー、GNDに黒ジャンパーを接続してください。
4. 実行してみよう
Dobot Magicianの電源を入れ、Doot Studioから接続してBlocklyのプログラムを実行してみましょう。タクトスイッチを押すたびにビックアップ動作が実行されるはずです。
5. 「プルアップ抵抗」とは?
一般にI/O端子から値を読み込む際には、電源電圧を1(もしくはH)、GNDを0(もしくはL)とします。スイッチのように、I/O端子がどこにもつながっていない状態(スイッチが押されていない状態)が存在する場合には、ノイズなどの影響で読む度に値が変わってしまうことがあります。これを避けるためにI/O端子を直接、電源電圧もしくはGNDに接続してしまうと、スイッチを押したときに電源電圧とGNDがショートした状態と同じになります。それを緩和するために、I/O端子を、抵抗を挟んで電源電圧もしくはGNDに接続した回路のことを、プルアップもしくはプルダウンと呼びます。
本稿では、プルアップ抵抗を入れることで、スイッチが押されていないときはI/O端子の値が電源電圧となるようにしています。
なお、Dobot Magicianには2つのバージョンがあります。バージョン2では、EIO19ピンにはプルアップ抵抗が内蔵されているので、プルアップ抵抗を省略することができます。
6. 最後に
ここまでの手順のどこかで躓いてしまった場合には、下記のメールアドレスまでお問い合わせください。
お問い合わせ : dobot@techshare.co.jp
7.注意
5V電源を直接EIOに接続すると故障する危険があるので注意してください。
8.サンプルプログラム
PROモードを使用するとTeaching&Playbackでもトリガ入力で動かすこともできます。EIO19の入力によって動作するTeaching&Playbackのサンプルがこちらからダウンロードできます。EIO19_demo