Raspberry Piの新しいモデルRaspberry Pi 4 Model Bが、2019年6月に発表されました。Raspberry Pi 3 Model Bから、3年ぶりのメジャーバージョンのリリースとなります。
Raspberry Pi 4も、従来と同じサイズを保ちつつ、性能は向上し、インタフェース回りも強化されています。そのスペックをチェックしていきましょう。
内容
Raspberry Pi 3 Model B+との比較
Raspberry Pi 3 Model B+と比較し、CPU回りの構成の違いは次の通りです。
Raspberry Pi 3 Model B+ | Raspberry Pi 4 Model B | |
SoC | Broadcom BCM2837B0 |
Broadcom BCM2711B0 |
プロセッサコア | Cortex-A53 | Cortex-A72 |
コア数 | 4 | 4 |
動作周波数 | 1.4GHz | 1.5GHz |
GPU | VideoCore IV 400HMz | VideoCore VI Dual Core 500MHz |
メモリ | LPDDR2 1GByte |
LPDDR4 1GByte/2GByte/4GByte (各モデルが存在、容量追加不可) |
プロセッサの動作周波数は若干向上した程度ですが、コアがCortex-A72にグレードアップしたことにより、かなりの処理性能の向上が見込まれます。
GPUもVideoCore VIのデュアルコアにグレードアップし、4K/6opのH.265デコードをサポートしています。
Raspberry Pi 4 Model Bではメモリが3通り選択できます。
従来のRaspberry Pi 3 Model B+では1GByteのみでしたが、Raspberry Pi 4 Model Bでは1GByte、2GByte、4GByteのバリエーションから選ぶことができます。
Raspberry Pi 4 Model Bの通信インタフェース
Raspberry Pi 3 Model B+ | Raspberry Pi 4 Model B | |
有線ネットワーク | Gigabit Ethernet over USB2.0 (max. 300Mbps) |
Gigabit Ethernet (制限なし) |
無線ネットワーク | 2.4GHz / 5.0GHz IEEE 802.11.b/g/n/ac | 2.4GHz / 5.0GHz IEEE 802.11.b/g/n/ac |
Bluetooth | Bluetooth 4.2、BLE | Bluetooth 5.0、BLE |
Raspberry Pi 3 Model B+までは、LANポートおよび4口のUSBポートは、1本のUSB2.0インタフェースを通してSoCと通信していました。そのため、Raspberry Pi 3 Model B+の有線ネットワークは300Mbpsが上限でした。Raspberry Pi 4 Model Bでは、4Gbpsの通信速度が出せるPCIe Gen 2インタフェースとなり、本来の Gigabit Ethernet のパフォーマンスを出すことが可能です。
無線ネットワークは従来同様IEEE802.11acをサポートしています。
Bluetoothはバージョンアップし、5.0 BLEをサポートします。
Raspberry Pi 4 Model Bの外部インタフェース
Raspberry Pi 3 Model B+ | Raspberry Pi 4 Model B | |
HDMI | full HDMIコネクタ | micro HDMI x2 (デュアルディスプレイ) |
USB | USB2.0、4ポート | USB2.0、2ポート USB3.0、2ポート |
GPIO | 40pin | 40pin |
CSI | MIPI CSI (2レーン) | MIPI CSI (2レーン) |
DSI | MIPI DSI | MIPI DSI |
3.5mmジャック | オーディオ&ビデオ出力 | オーディオ&ビデオ出力 |
Raspberry Pi 4 Model Bではデュアルディスプレイに対応し、micro HDMIが2口用意されています。
また、USBもグレードアップし、USB3.0が2口+USB2.0が2口という構成になりました。
Raspberry Pi 4 Model Bの電源
Raspberry Pi 4 Model Bではプロセッサはグレードアップしましたが、電源電圧は5Vのままです。ただし、コネクタの形状はUSB-Cタイプに変更しています。
推奨されている電源容量は3Aです。最大で3Aを消費するわけではなく、USB接続機器への給電等も考慮し、ぎりぎりの容量でトラブルを招かないための安全めの値と考えられます。実際の消費電力は、アイドル時3W(500mA)で、最大でも6.25W(1.25A)とのことです。
現時点では、USB-Cに接続するケーブルは、接続先を自動判別するチップの入ったいわゆる”E-Marked”のものは使用できませんので注意が必要です。
電源供給の手段は、USB-Cコネクタのほかに、GPIOへの直接給電や、PoEによる給電も可能となっています。PoE給電では、Raspberry Pi 3 Model B+から採用されているPoE用の4ピンコネクタを利用したPoE HATがRaspberry Pi 4 Model Bでも使用できます。
Raspberry Pi 4 Model BのOSについて
RaspbianOSは、現時点では、2019-06-20版を使用するのが無難とされています。このバージョンは、負荷をかけたときの発熱が顕著で、十分な廃熱をほどこさないと温度上昇によりCPUのパフォーマンスが制限され、十分な性能が引き出せないことが知られています。この問題は、現時点で最新の2019-07-10版では解決されていると言われていますが、2019-07-10版は、USBにフラッシュメモリなどのストレージを接続したときに動作が不安定になるため、2019-06-20版の方が無難とされているようです。
Raspberry Pi 4 Model Bの外形上の違いは?
基板のサイズは従来のModel Bと同じです。
Raspberry Pi 4 Model Bで、外形上、従来と異なる箇所は主に次の4点です。
- LANコネクタがUSBコネクタと入れ替わっている
- 電源供給用のコネクタがUSB-Cに変更されている
- フルサイズのHDMIコネクタが、micro HDMIコネクタ2口に変更されている
- その他、基板上のチップの配置やサイズが変わっている
Raspberry Pi 4 Model Bでは、メモリ容量は3種類ありますが、外見上はほとんど見分けが付かないようです。シルク印刷等でメモリ容量が明記されているわけではなさそうです。外見だけからメモリ容量を判別するには、メモリチップ表面の刻印を調べる必要があるとのことで、注意が必要です。
Raspberry Pi 4 Model Bの販売予定
海外では、1GByte、2GByte、4GByteのいずれのモデルも販売開始されています。国内では、技適認証が取得完了してからの販売となります。