Tinker Boardは、ARMベースのシングルボードコンピュータです。先日、ASUS社から新たにTinker Board 2/2Sの情報が公開されました。IoTデバイスへの活用に向けた、さまざまな改良がなされているようです。(以下の画像はTinker Board 2Sです)
本稿では従来のTinker Boardとスペックを比較しつつ、Tinker Board 2/2Sで注目すべき点を取り上げます。
内容
システムを見る
まずは要となるプロセッサやメモリ、GPUの比較を行います。
Tinker Board | Tinker Board 2/2S | |
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CPU | Rockchip クアッドコア RK3288 プロセッサ | Rockchip RK3399
デュアルコア Arm® Cortex®-A72 @ 2.0GHz クアッドコア Arm® Cortex®-A53 @ 1.5GHz |
メモリ | 2GB デュアルチャネル DDR3 | デュアルチャネル LPDDR4 2GB |
GPU | 統合グラフィックスプロセッサ
ARM® Mali™-T764 GPU |
Arm® Mali™-T860 MP4 GPU @800MHz |
(1) 4+2コアのCPUでかしこく振る舞う
Tinker Board 2/2S では2.0GHz Cortex-A72(デュアルコア)と1.5GHz Cortex-A53(クアッドコア)を組み合わせたヘテロジニアス(異種混合)構成になっています。
加えてArmのbig.LITTLE技術により、大型で高パフォーマンスのCPUと小型で省電力のCPUを柔軟に使い分け、電力消費を抑えつつも高い性能を引き出します。
(2) マルチコアGPUの進化
Tinker Board 2/2Sで使用されているMali-T860は、より複雑なグラフィックス処理に適したマルチコアGPUです。OpenGL ES 3.0/3.1、OpenVG 1.1、OpenCLなどのAPIをサポートしています。ベンチマークテストにより、初期のTinker Boardと比較して28%の性能向上を記録しました。
通信インターフェースを見る
続けて、対応する通信規格の比較を行います。
Tinker Board | Tinker Board 2/2S | |
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有線LAN | RTL ギガビット LAN | RTL8211F-CG ギガビットイーサネット LAN |
無線通信 | 802.11 b/g/n,
Bluetooth 4.0 + EDR |
M.2 – 802.11 a/b/g/n/ac,
Bluetooth 5.0 (2T2R) |
(3) データ通信をより速く
Wi-FiがIEEE802.11ac規格に対応したことで、データ送受信の速度に10倍近くの高速化が見込めるようになりました。
また、Bluetoothもバージョン5.0に対応しており、スピーカーやゲームコントローラーなどといった外部デバイスとの快適な通信が期待されます。
外部インターフェースを見る
Tinker Board | Tinker Board 2/2S | |
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ディスプレイ接続 | HDMI™ with CEC hardware ready × 1
USB Type-C® (DP Alt Mode) × 1 22ピン MIPI DSI (4レーン) × 1 |
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ストレージ | microSD(TF)カードスロット | microSD(TF)カードスロット(プッシュ-プル方式)
(2Sのみ)16GB eMMC |
オーディオ | (RTL ALC4040 CODEC搭載) | HDMI™ オーディオ出力 × 1
S/PDIF TX ピン (from GPIO) × 1 PCM/I2S ピン (from GPIO) × 1 |
USB | USB 2.0 × 4 | USB 3.2 Gen1 Type-A ポート × 3
USB 3.2 Gen1 Type-C® OTG ポート × 1 |
(4) USB3.2への対応
Tinker Board 2/2SではUSB3.2 (Gen 1)対応のType-Aポートが3つ、Type-Cポートが1つ設けられています。初期のUSB2.0に比べて転送効率が格段に上がると考えられます。
Type-CポートはDisplayPort規格による映像出力をサポートしており、外部ディスプレイとの接続も簡単です。急速充電が可能な点も魅力でしょうか。
(5) デュアルディスプレイを利用可能
4K UHD解像度までのデュアルディスプレイをサポートしています。HDMI接続、Type-C USBを介したDisplayPort接続など、主要なインターフェースには柔軟に対応できます。
(ex.) ‘S’ の違いはストレージ
Tinker board 2Sのみ、microSDスロットに加えて16GB eMMCを搭載しています。カードの接触不良等を気にせずにストレージの読み書きができるほか、直接OSをインストールすることでeMMC経由の起動も可能です。
その他の特徴
(6) Android 10のサポート
Tinker Board 2/2SはAndroid 10上で動作するよう設計されています。Android 10は同じ無線ネットワークに接続されたIoTデバイスを管理する柔軟なAPIを備えており、開発時に効果を発揮します。また、Android Neural Networks API(NNAPI)の存在により、Tinker Board 2/2Sは機械学習などのタスクにおいても有用であると考えられます。
詳細に関しては、それぞれ以下のリンク先ページよりご確認ください。
Tinker Board 2
https://tinker-board.asus.com/prod_tinker-board-2.html
Tinker Board 2S